ガガガッと大きな音を立てながら、車が歩道の上に乗り上げる。


何かが焦げ付く匂いと、スピードを上げる車。


れお……!


「……危ない!」


あっという間の出来事だった。


無我夢中でれおと女の子の背中を強く押した瞬間、全身に衝撃が走ったのは。


ーードンッ


大きな音が聞こえたかと思うと、体が宙に浮く感覚がして気付くと吹き飛ばされていた。


体中がものすごく痛い……。


目の前に迫るアスファルトに、思わずギュッと目を閉じた。


次の瞬間、今までに感じたことのないような痛みが全身を襲う。


や、やばい。


意識が……。


体の中から生温い物が流れてる気がする。


私……このまま死ぬのかな。


「しず……!」


どこかかられおの声が聞こえたような気がした。


れお……ケガはない?


無事……?


れおが無事ならそれでいい。


「しず、しっかりしろ!しず……っ」


ごめん……れお。


それに反応出来る元気がない。



「しず……!」



その声を最後に、私は完全に意識を失った。