雑木林の中のぽっかり空いた部分に到達すると、2人並んで地面に腰掛け星を眺めた。
「わぁ、綺麗。今日って、新月の日なんだ」
お月様が出ていないから、真っ暗で星がよく映えている。
こういう暗い場所では手話や唇の動きがわかりにくいから、黙って過ごすようにしている。
何より幻想的な雰囲気を壊したくないから、シーンとしている方がいい。
しばらく星を眺めたあと、突然れおが私の後ろに回って私の肩に顔を埋めた。
サラサラのれおの髪が頬に当たる。
後ろから抱き締められる形になり、れおの息遣いがすぐそばで聞こえた。
「れ、れお……?」
「こうしてくっついてると、寒くないだろ?」
「それは……そうだけど」
恥ずかしすぎるよ、この格好。
背中に神経が集中しているみたいにドキドキする。
やばいよ、これ。
「しず、こっち向いて」
耳元で囁かれたツヤのある声に、鼓動が高鳴った。
ずるいよ、そんな声。
向かずにいられなくなっちゃう。
れお……。
首だけで振り向くと、優しく微笑むれおと目が合った。
「しず、好きだよ」
「私も……」
れおが大好き。
そのままクルッと振り返り、れおと向かい合った。
暗がりの中に浮かぶ魅惑的な顔立ちにドキドキが止まらない。
ゆっくりれおの顔が近付いて来たかと思うと、触れるだけの軽いキスをされた。
「しず、可愛すぎ」
「な、なに言ってんの」
恥ずかしい。
唇を離したあと、照れくさくなって顔を合わせたまま笑った。
照れたようなれおの笑顔が好き。
その笑顔をずっとそばで見ていたいよ。
「しずは大学決めたのか?」
「私は……」
どうしたいんだろう。
行きたい大学に行けば地元に残るれおとは、かなりの遠距離になる。
れおと離れるのは嫌だけど大学にも行きたい。
どうしよう。
どうすればいい……?
「俺のことは気にせずにしずが行きたいと思う大学に行け。じゃなきゃ、絶対に後悔する」
「…………」
なんて言えばいいかわからなくて、うつむくことしか出来なかった。
だったら……れおは?
本当に行きたい大学に行こうとしてる?
そう思ったけど訊き返すことなんか出来なくて、ただぼんやり夜空を眺めていた。



