ずっと、キミが好きでした。



10月初旬。


本格的に大学を決めないといけない時期に突入したけど、私はまだ迷っていた。


模試やセンター試験では一番行きたい大学に照準を合わせて受けたり、資料を取り寄せて情報を集めてみたりはしているけどあと一歩のところで踏み止まってしまう。


れおにも本当のことを言えずに、悩む毎日。


担任の先生にも早く決めろと言われるし、お母さんにまで電話が入って正直かなり困っている。


私が一番行きたいのは、都内にある有名な大学。


その大学は福祉のことはもちろん、世界中の手話を学べる唯一の大学。


手話でれおと接していく内に福祉やろう者に関することに興味を持つようになった私は、もっともっと手話を勉強したいと思うようになった。


その大学は日本手話だけではなく英語の手話も学べる大学で、さらにはろう学校の教員免許も取れるらしい。


ろう学校の先生になりたい。


耳が聞こえない子どもに手話を教えたり、勉強を教えたりしたい。


いつしかそう思うようになっていた。


でもその大学に行くとなると、地元からはかなり離れているので家を出なきゃいけない。


移動手段は飛行機や新幹線。



どうしよう……。



ダメだ。


このままじゃダメ。


ちゃんとれおに話さなきゃ。


れおならきっと、行きたい大学に行けって背中を押してくれるはず。


意を決して、放課後れおの家に出向いた。


約束はしていないし、家に行く時はいつもアポなし。



「れおね、まだ帰ってないのよー!上がって待っててー!」



サクさんが笑顔で出迎えてくれて、遠慮なくれおの部屋で待たせてもらうことにした。


綺麗に整頓されたれおの部屋。


私の大好きなれおの匂い。


落ち着く。


れおは将来のこととか考えてるのかな。


最近は自分のことでいっぱいだったから、れおの話を聞くこともしていなかった。