春が過ぎて梅雨が明け、焼けるように暑い夏がやって来た。
れおといると時間の流れがすごく早く感じる。
「またボーッしてる」
「え……?」
れおに顔を覗き込まれてハッとした。
「なんか悩みでもあんの?」
「ううん、なんでもないよ」
そう言ったけど、れおは全然納得してないようだった。
真剣な目で私の心を見透かそうとして来る。
「しずがそう言う時は、たいてい何か悩んでんだよ。隠してもムダ」
「あは、バレた?やっぱりれおには敵わないな」
一発で見破られてしまい苦笑するしかなかった。
やっぱりれおには隠せない。
「進路について悩んでるの」
「進路?」
「うん」
「大学に行くんだろ?」
「うん……」
「どこに行くか決めてんの?」
私は小さく首を横に振って返事をした。
行きたい大学ならあるけど、でもそこはここからかなり遠く離れている。
パソコンで調べて見つけた日から、考えないようにしていたけどダメだった。
その大学に行きたい。
そんな思いが日に日に大きくなっていることに気付いたけど、でも……。
れおと離れ離れになっちゃう。
それが私の決心を鈍らせていた。