だからね、れお。
ずっと笑っててよ。
れおが笑っていてくれることが、私にとっての幸せだから。
「付き合ってもうすぐ1年だね。どっか行きたいところある?」
覚えたての手話を交えて聞いてみた。
せっかく覚えても時間が経つとすぐに忘れちゃうから、れおといる時はなるべく使うようにしている。
れおもまた、口で返事をしながら手話を使ってくれる。
れおの優しさと気遣い。
外ではあまりしてくれないから、私もしないようにしてるけど。
「しずと一緒にいられるなら、どこでもいい」
れおはやっぱり、私をドキドキさせるのがうまい。
熱がこもった真剣な瞳で見つめられたら、たちまち赤くなってしまう。
「どこでもいいっていうのが、一番困るんだけどな」
ドキドキして、そわそわして。
つい、声が小さくなる。
そんな私を見て、れおは小さく笑った。
私の大好きな笑顔。
「じゃあ、しずの行きたいところに行きたい」
「私の行きたいところ?」
「前、海に行きたいって言ってなかったっけ?」
「言ったけど……遠いよ?」
恐る恐る訊ねる私に、れおがクスッと笑う。
「それでも、行きたいんだろ?」
「うん」
「じゃあ決定」
「わぁ、やったー!」
嬉しい。
耳が聞こえなくても、私とれおの関係は昔から何ひとつ変わっていない。
れおの言いそうなことはわかるし、私の言いそうなこともわかってくれる。



