「れお」


「ん?」


「私、結構手話覚えたよ。学校でちーにも教えてもらってるの」



まだ完全じゃないしわからないことの方が多いけど、もっと手話を覚えたい。


れおに繋がる大事な手段だもん。


それにね……。



「ごめんな……。俺のせいで、しずに迷惑かけて」


「れお……」



どうしてそんな風に言うの?


迷惑だなんて思ってない。


思うはずないじゃん。


私がしたくてしてるんだよ?


それなのに、そんな風に思われるのは嫌だ。


私はシャーペンを握って再びノートに向かった。



『私ね……最近手話を覚えるのが楽しいの。だって!れおだけじゃなくて、京太君やあーちゃんとも会話が出来るんだよ?それって、素敵なことだと思わない?』



だから、そんな風に思わないで。



「しずはいつも前向きだな。どうしたらそんな風になれんの?」


「前向きって……私が?」



コクンと頷くれお。



『前向きなんかじゃないよ。れおがいないと何も出来ない弱虫だもん』


「そんなことないだろ。しずは俺なんかよりずっと強いよ」



ううん。


そんなことない。


れおがいなきゃダメなんだ。