次第に涙が溢れて目の前がボヤけた。
どうして涙が出て来るのか、どうしてこんなにも胸が苦しいのかは、よくわからない。
『バスケがしたい』
中学でもバスケをやってたれおだから、高校でもそうなんだろうなって思ってた。
「バスケなら……明倫学園でも出来るじゃん!どうして、そんな遠くの高校に行く必要があるの?」
わかってる。
これは、れおと離れたくないっていう単なる私のワガママだ。
だけど、れおは私と離れても平気なんだって考えたら、ツラくて胸が張り裂けそうだった。
「一緒に明倫学園に行こうよ、れお……っ!」
普通なら応援しなきゃいけないのに、止められなかった。
やりたいことに向かって突き進んで行くれおに、置いてかれそうで怖かったの。
「夏休みに星ヶ崎高校の見学に行ったんだ。その時、その先生と話してさ。ちょっとだけバスケしてるところも見せてもらった。その時、この人にバスケを習いたいって強く思ったんだよ」
「……っ」
迷ってるなんて言いながらも、れおは私を諭すような柔らかい口調で言う。
ほらね。
れおの中ではもう決まってる。
それなら、私がなにを言ってもムダ。
きっと、考えは変わらない。
「もう、いいよ。れおの……バカ!」
肩にかけたカバンの取ってをギュッと握り締め、れおの顔も見ずにダッシュでその場をあとにした。



