れおの胸にあるベージュのネクタイは、京太君のと同じもの。
両耳が聞こえなくなったれおは、あんなに行きたがっていた星ヶ崎高校への進学を諦め、京太君と同じ聴覚障害者の特別支援学校へ通っていた。
今の今まで知らなかったれおの真実。
何も知らずに私だけが苦しいんだと思っていたあの頃の自分を、殴りたくなった。
れおのことを知った気でいたけど、何もわかってなかったんだ。
れおの背中に腕を回して、力の限りギュッと抱き締める。
もうこれ以上、れおに傷付いてほしくない。
苦しんでほしくない。
そう願いを込めて、キツくキツく抱き締めた。
「しず……苦しい」
「うん……でも、離さない」
「いいのかよ……?こんな俺で……」
「なんで……『こんな俺』とか言うの……?れおは何も変わらない。昔から……私の大好きなれおのままだよ。れおがいい……私は、れおがいいの」
聞こえていないとわかっていながらも、そう言わずにはいられなかった。
お願いだから『こんな俺』なんて言わないで。
私はれおじゃなきゃダメなんだよ。
「しず……顔、上げて」
「やだ」
泣いているのがバレたくなくて、首を振って拒否をする。
また泣き虫って言われちゃう。
強くなるって決めたのに、れおに関しては全然ダメだ。
情けないよね……。



