「両耳が聞こえなくなって……もう、終わりだと思った。音から遮断された世界はあまりにも孤独で……静かで。自分の存在意義さえ、見出せなくなってたんだ」
「……っ」
「しずは俺とは違う。普通の世界にいる人間なんだって思ったら、すっげえ劣等感を抱いて……今まで積み重ねて来たものが俺の中で壊れて。気付くと、距離を置くようになってた」
れおの声が、体が小刻みに震えている。
普段めったにこんなことを話さないから、緊張と不安でいっぱいなんだろう。
でも、大丈夫だよ。
安心して。
私は、もうれおから逃げたりしない。
何があっても、ずっとそばにいる。
れおは1人じゃない。
私がいるよ。
だから、弱さや本音をさらけ出して。
私に全部聞かせて。
「あの時は、何もかもが卑屈にしか捉えられなくて。聞こえなくなったってしずに知られたら、俺から離れていくんじゃないかって……怖かった。ただ、それだけだった。だから、わざと突き離して……傷付かないように必死に」
「……っ」
喉の奥がカーッと熱くなって、頬に涙が流れた。
れおはいったい、どれだけ苦しんで来たの?
自分だけが苦しいんだと思っていた。
れおに嫌われたんだと思ってた。
でも、違った。
苦しんでいたのは、れおの方だった。



