れおの笑顔にドキドキしている女子は、きっと少なくない。
誰にでも平等に優しくて、気遣いが上手で女心をわかっているれおの人気はかなり高い。
大半のクラスメイトは小学校からの持ち上がりなので、事故に遭う前のれおを知っている人も多かった。
れおに対する偏見はほとんどなく、みんな親切に接している。
「邪魔者はさっさと退散するね。バイバイ、しずく!桐生君も」
「うん、また明日ね!」
「柳井さん、また明日」
私たちに向かって大きく手を振るやっちゃんに、私も大きく振り返した。
れおはれおで、はにかみながら小さく手を振り返している。
なにをしても絵になるれおは、そんな仕草までもが王子様みたいでカッコいい。
近くにいた女子も、れおをチラチラ見て頬を赤く染めていた。
……相変わらずモテますこと。
れおに促され、やっちゃんに続いて教室をあとにする。
帰ろうとする私たちに、色んな人が手を振って見送ってくれた。
「ねぇ」
「?」
横に並んで通学路を歩いている時は、れおの体の一部に触れて呼びかけるようにしている。
補聴器を付けてはいるけど、外は騒音がひどくて声を聞き取りにくいだろうから。
「進路決めた?」
「俺?」
「うん」
なんとなく胸がドギマギした。
れおはちゃんと、私に話してくれるだろうか。
思えば、こんな真面目な話をするのは初めてかもしれない。



