それからどんな風に毎日を過ごしたのか記憶が曖昧で、気付くと桜が咲き乱れる季節に突入していた。


高校2年生、春。


クラス表が貼り出された掲示板の前には、砂糖に群がる蟻のごとく人だかりが出来ている。



「しー、今年もまた同じクラスだよ!」


「本当?やったぁ!」


「しーず、俺も」


「げっ、大雅」



ちーと手を取り合って喜んでいるところに、大雅が歩み寄って来た。


大雅は中学の時に比べると随分身長が伸び、顔付きも大人っぽさが増して凛々しくなった。


ただ、中身は変わっていないけど。



「げってなんだよ、げって。もっと喜べよな、バーカ」


「だって、3年連続同じとか。いい加減飽きるでしょ」


「薄情な奴だなぁ。ぼっち飯に付き合ってやったのは誰だよ」



なんてスネたようにぶつくさ言う仕草は、実にガキっぽい。


黙ってればかなりのイケメンなのに、もったいない。


それでも、大雅にも優しいところはあるんだけどね。



「そんな昔のことなんて、とっくに忘れたよ」


「なんだと、テメー」


「あはは」



2人で言い合っていると、周囲からの視線をひしひし感じた。