ずっと、キミが好きでした。



「うむむむむむ」



ど、どうしよう……。


自分のこの優柔不断さを、今日ほど呪ったことはない。


どうしてパッと決断出来ないのかな。


私の意気地なし。


でもね、本当はわかってる。


どうして覚悟を決めることが出来ないのか。


それはーー。


れおに必要とされていない事実をありありと突き付けられて、これ以上傷付くのが嫌だから。


れおに必要とされなくなった現実を認めたくない。


でも……。


それでも私は、前に進みたい。


大きく息を吸って、インターホンに手をかけた。


もう、迷わない。


そう思って指先に力を加えた時だった。


門の奥から、かすかに人の気配がした。



1人ではないのか、くぐもったような話し声が聞こえて来る。


かなり距離があるから何を言っているかまでは聞き取れなかったけど、その声は徐々に大きくなって来た。


だ、誰か来る。


なぜか焦ってしまった私は、慌ててそこから離れるとすぐそばの角を曲がって身を隠した。


これじゃあ、ただの変な人みたい。


なんて思いつつ、変に高鳴っている胸に手を当てて落ち着かせようとする。



「怜音君、ここでいいから」


「危ないから、送るよ」



ーードクン


久しぶりに聞くれおの声に、息が止まりそうになった。