マフラーに顎先を埋めて、寒さを凌ぐ。
スカートから覗く肌の部分が痛寒く、すでに感覚はなくなっていた。
もうすぐ2月か……。
私の誕生日がやって来る。
れおとデートしたあの日から1年が経つのかと思うと、信じられない気持ちでいっぱいになる。
去年の誕生日は、ネックレスを買ってもらったっけ。
れおはもう、忘れちゃったかな。
私は忘れられないよ。
れおとのことは全部ちゃんと覚えてる。
あのネックレスは今でも、大切に引き出しの中にしまってあるんだ。
ワガママは言わない。
強くだってなるから……。
もう一度、もう一度だけ……れおに逢いたい。
足は自然とれおの家の方に向いていた。
逢える保証はどこにもないし、本音を言うと、きちんと話せる度胸もない。
でも、でも……このままじゃ嫌だ。
本当のことを知りたい。
そのためにも、ちゃんと話せるように頑張る。
意気込んだところまではよかったものの、れおの家の前に着くとさっきまでの気持ちは一気にしぼんだ。
インターホンを押そうか押すまいかというところで、もう15分以上動けずにいる。
ど、どうしよう……。
やっぱり、やめとこうかな。
でも、せっかくここまで来たし。
いや、でももう遅いから、また明日にして……。
でも……今日を逃したら、勇気が出ない気がする。
そんな葛藤がぐるぐると渦巻き、なかなか覚悟を決めることが出来ない。



