ずっと、キミが好きでした。



そのすぐあと、京太君と雑貨屋さんで別れ、私とちーは同じ駅ビルの中にあるファミレスにやって来た。



「京太はね、生まれつき耳が聞こえないの」


「え?」



生まれつき、耳が聞こえない……。



「中学の頃から特別支援学校に通ってて、高校も聴覚障害者が行くような特別支援学校を受験したんだ」



小腹が空いたということで、寒いにも関わらず2人してパフェを注文し、運ばれて来るのを待っているところ。


ちーは京太君の生い立ちについて話し出した。


なんとなく話してくれるだろうなって思ってたから、私は静かに聞き入る。



「生まれつきだから、話すことも出来なくて。コミュニケーションの手段は、読唇術と手話なの。ビックリしたでしょ?」


「ううん、そんなことないよ。ちーが手話出来るなんて思わなかったから、そっちはビックリしたけどさ」


「あは、でしょ?京太と唯一コミュニケーションが取れるのは手話だからね。でも、手話も思っていることが全部伝わるわけじゃないんだよ。特に生まれつき耳の聞こえない人がよく使う、日本手話はね」


「ん?どういうこと?」


「うーん、だからぁ。さっき京太に手話でしーのことを紹介したんだけど、『あたし』『友達』『仲良し』『しずく』って具合いに、日本手話では単語でしか伝えられないっていうか。『あたしの友達で、仲良しのしずくだよ』っていう文章として伝わるわけじゃないの」


「へえ、そうなんだ」


「ろう者にはろう者の独特な文法があって、ろう者間の日本手話では単語で会話してるって感じかな。日本語の文化とは違うんだよ」



うんうんと相槌を打ちながらちーの話に耳を傾ける。


へえと感心しながら聞いていた。



「手話にも種類があるんだ。主に中途失聴者が使用する日本語に手話をつけた日本語対応手話と、ろう者が使用する日本手話。このふたつはまったくの別物なんだよ。ニュース番組でよく使われてのは、ろう者にはわからない日本語対応手話。これは、手で現す日本語って言えば、わかりやすいかな?」


「うん……」



全然知らなかった。


手話で全部伝わるんだと思っていたけど、かなり意外だった。


そもそも、手話に種類があるなんて。


だけど、考えてみたらそうだよね。


最初から聞こえない人に、日本語がどういうものかがわからないのは当たり前だ。


生まれつき聞こえない人と、途中から聞こえなくなった人が使用する手話の種類は違う。


ろう者が独自で日本語を勉強するのは、かなりの努力が必要になるらしい。