私が驚いているように、彼も目を見開いてビックリしているようだった。
まさか、ちーの弟君だったとは。
向こうも、まさか私が双子の姉の友達だとは思ってなかっただろう。
それにしても、世間って狭いよね。
彼に向かって軽く会釈すると、彼も同じようにぺこりと頭を下げてくれた。
「わ、私、月城しずくって言って!ちーと仲良くさせてもらってます」
「あ、ダメダメ。わからないから」
「え……?」
疑問に思って聞き返そうとした時、ちーが弟君に向かって何やら両手で何かをし始めた。
動きを目で辿っていくうちに、一つのことが頭に浮かんだ。
これは、手話……?
弟君はちーの手の動きを目で確認しながら、うんうんと相槌を打っている。
そして、ちーが私を指しながら弟君に何かを伝えた。
多分、流れからして私の紹介でもしてるんだろう。
私は何も言えなくなって、黙ったまま2人のことを見つめていた。
「俺は加川 京太です。よろしくって言ってるよ。京太って呼んでって」
「え?あ、こ、こちらこそっ」
未だに柔らかい笑みを浮かべている京太君に向かって、もう一度ペコッと頭を下げた。