だけど、いいよね?
「れおが明倫学園の推薦を蹴ったって」
「えっ!?ウソ」
やっちゃんの大きくてパッチリした目が見開かれる。
お人形さんのようにまつ毛が長く、透き通るように真っ白なお肌。
いつ見ても、やっちゃんは綺麗だ。
「ほんとだよ。こないだ職員室に行った時、先生同士で話してるのが聞こえたの」
「なんで?なんで蹴っちゃったの?明倫の推薦なんて、なかなか取れないのに」
もったいない!と言わんばかりの勢いで、やっちゃんが机を力いっぱい叩いた。
「わかんない。れおから直接聞いたわけじゃないし」
「えー!聞きなよ!もったいない」
「他に行きたい高校があるのかも」
「明倫以外に?」
やっちゃんがビックリするのもムリはなかった。
明倫学園は県内でもトップクラスの進学校で、遠くから受験する人もいるほど倍率が高い。
卒業後はほとんどの人が有名大学へ進学し、医師や弁護士、薬剤師、一流企業に就職するのが常となっている。
明倫学園へ入ったというだけで、将来が約束されたようなもの。
「うん……明倫以外に。まぁ、私の想像に過ぎないけど」
「そっか。なんとか考え直してもらって、2人で明倫学園に通えるといいね」
やっちゃんの言葉に頷くことが出来ない。