「教室にいないと思ったら、こんなところでぼっち飯かよ」



ひっそりとしたひと気のない非常階段でお弁当を食べようとすると、背後から呆れたような声が聞こえて来た。



「た、大雅……!なんで?」


「なんでって……昼休みになると、いつもすぐに教室を出て行くお前のことが、ずっと気になってたから」


「え?」


「どこに行ってんのかと思ったら、こんなところでぼっち飯だったとはな」


「う、うるさいなぁ。ぼっち飯ぼっち飯って。ほっといてよ」



イジワルなことばかり言う大雅に対して、ついつい素が出てしまう。


教室でも何かと絡んで来るから、女子たちに付き合ってるんじゃないかって疑われて困りものだ。



「仕方ねーから、付き合ってやるよ」



大雅は私の隣に腰を下ろすと、手にしたビニール袋からゴソゴソとパンを取り出す。



「別に……ひとりでも平気だよ」


「そう寂しいこと言うなって。せっかくモテ男のこの俺が、寂しいしずに付き合ってやるっつってんのに」


「あは、モテ男って……!自分で言ったら説得力ないよ」


「うっせー、ほっとけ」



大雅はパンにガブッとかじりついたあと、じとっと私を睨んだ。


それをスルーして、お弁当箱の蓋を開けて箸を握る。


食欲なんてないけど、食べなきゃ午後からの授業が持たないので無理やり胃に流し込んだ。