強引に引っ張られて、思わず足がもつれて転びそうになった。
「た、大雅、離して。痛い」
「あ、わり」
大雅と歩いている間中、頭の中はれおのことでいっぱいだった。
なにか話していたような気もするけど、大雅の声は右から左にスーッと抜けて、あまり覚えていない。
本当に来週になったら逢えるの?
ちゃんと話せる?
この2週間で色んなことがあったから、話したいことがたくさんある。
わざわざ大雅を介して私を帰らせようとしたれおに、不安ばかりが大きくなっていくよ。
「あんま思い詰めるなよ。しずが辛気くさい顔してんのは、似合わねーぞ」
「うん……ごめん」
「別に、謝る必要ないけど。とにかく、元気出せよ!な?」
「うん……そうだね」
「何かあったら、いつでも相談に乗ってやるから」
「大雅に話すくらいなら、やっちゃんに相談する」
「お前は本当に可愛くねーな。せっかく元バスケ部のエースで、モテモテのキャプテンの俺が言ってやってんのに」
アパートの下での、そんなやり取り。
私を元気付けようと、大雅は冗談っぽく言って笑っている。
それが、不器用な彼なりの優しさ。
「大雅、ありがとう。また、学校でね」
「ああ、じゃあな」
「あ、カイロ返すよ」
「いい、お前にやる。じゃあな!」
踵を返すと、大雅はそのまま走って行ってしまった。
大雅の背中が見えなくなったあと、真っ暗なアパートの部屋に帰った。



