待てど暮らせど、一向にれおが帰って来る気配はない。
気付けば、辺りはすっかり夕焼け空に変わっていた。
「はぁ、寒い」
太陽が沈む夕方から夜にかけて、一気に気温が下がって急激に冷え込む。
雪が降る地域ではないものの、まさに凍えるような寒さだ。
今日に限って手袋を忘れるなんて最悪だよ。
かじかむ手に白い息を吐きかけて温めようとするけど、この寒さの中では無意味だった。
感覚がなくなった手をブレザーのポケットに入れたり、マフラーでゴシゴシ擦ってみたり。
じっとしていられなくて、不審者みたいに家の前を行ったり来たりしていると、通りすがりの人から変な目で見られた。
れお、まだ?
早く帰って来て。
寒さが限界だよ。
顔の感覚もなくなっていて、もはや痛い。
スカートから露出している足も、首も、頭皮さえもが痛い。
ここへ来てから、何時間ぐらい経ったかな。
れおは1人で病院に行ったんだろうか。
こんなに遅いってことは、家族でどこかに行ってるってこと?
病院の帰りに夜ご飯でも食べに行ってるのかな。
現在の時刻は19時43分。
ちょうど夜ご飯の時間帯だ。
今日は帰りが遅くなるから、逢えないってことだったのかな。
仕方ない、帰ろう。
2週間分の配布物が入った紙袋を門の取っ手にかけて、れおの家を後にしようとした。
「はぁはぁ……やっぱり、まだいた」
「え?」



