2人に事情を説明し、ここで解散しようと持ちかけた。
2人はまだ受験生で2週間後には本番が控えている身。
寒い中長く付き合わせるのは申し訳なく、この時期に風邪でも引いたとなれば、試験に影響が出るかもしれない。
「私はもう少し待ってみるね」
「なら、俺も」
「なに言ってんの、受験生のくせに。ほら、早く帰った帰った」
「んでだよ、バカしず」
大雅は子どもみたいに下唇を突き出して、あからさまにスネてみせた。
「心配なのはわかるけど、試験の方が大事でしょ。れおに会えたら、連絡するから。ね?」
「…………」
「大雅」
「……わかったよ」
プイとそっぽを向き、ぶっきらぼうに大雅はつぶやいた。
寒さで耳が真っ赤だ。
風邪引かなきゃいいけど。
「あ、そうだ。やっちゃんをよろしく!確か、途中まで一緒だと思うから」
「言われなくても、わかってる。じゃあな、バカしず。柳井さん、行こ」
「あ、うん。じゃあね、しずく。バイバイ」
「バイバイ」
2人の背中が見えなくなるまで見守ると、れおの家の方に向き直った。
来週って言われたけど、少しでもいいから逢いたかった。
一目見たら帰ろう。
それくらいなら、いいよね?