花奈 ~15日生きた君へ~


それからも私は、花奈の自宅に何度も遊びに行った。

異世界に迷い込んだという説で、自分自身を納得させてからというもの。
私の頭の中にはもう何の疑問も浮かばなくなった。
お母さんとも良平とも、意外とすんなり知り合ったばかりのように接することができた。

花奈は学校に行けないからか、私と良平の学校生活にとても興味があるみたいで。
遊びに行くと必ず私と良平に「学校どんな感じ?」って聞いてきた。

私は学校が楽しくないこととか友達が1人もいないこととか、そういう辛い話はできなかった。
花奈は楽しい話を聞きたいと思ってるだろうし、私だってせっかく遊びに来たから楽しい時間を過ごしたい。
そんな中重苦しい話をしたら、空気が壊れちゃうと思ったから。

「喘息がひどいから部活には入れなかったけど、そのかわり放課後に校庭のブランコで遊ぶのが楽しい」
「理科の先生が、腹話術の人形を使って授業をするから面白い」
「そもそも勉強が好きだから、何より授業時間が楽しい」

学校生活について、私は嘘も含めながら楽しいことばかり話した。