「花奈はワタシに似て可愛かった。あんたと違って品があって真面目で家族の言うことを聞く、素晴らしい子に育ってたはずよ」
毎日毎日聞いているセリフ。
私はいつも手が出そうになるのをこらえてる。
「ワタシに花代なんて孫はいない。花奈が死んであんたが産まれたから、あんたのことはずっと花奈だと思って接してきた。子供の頃は言わなかったけど、本心はずっとそうだったんだよ」
祖母は私の顔を覗き込みながら言う。
私は顔色一つ変えず、洗面台に立つと顔を洗い始めた。
「あんたは人の話も聞かない子に育ったのか。困ったねぇ。何か言ったらどうなのよ」
祖母が私を挑発するように言う。
無視無視。

