花奈 ~15日生きた君へ~


そして、午後6時ごろ。
ついに私が病室を出る時間が来た。
花奈ちゃんが見送りたいって言って、エレベーターの前までついてきてくれた。

「じゃあまたね!」

エレベーターに乗り込みながら、私は花奈ちゃんにそう言って手を振る。

「またね!たまにでいいから連絡してね!」

花奈ちゃんもそう言って手を振り返してくれる。
その姿を確認すると同時にエレベーターのドアが閉まり、私と花奈ちゃんは一旦お別れした。

私はいつも退院する時、元気になって嬉しい気持ちより学校に行きたくない気持ちのほうが強かった。
だけど花奈ちゃんっていう友達ができた今回は、学校のことがどうでもよく思えた。
新しい友達ができて、その友達に見送られて退院できるのが嬉しくて、それだけで胸がいっぱいだったから。
友達がいるってこんなに嬉しいことなんだなぁって思った。