花奈 ~15日生きた君へ~

次の日。
朝の先生の回診で、私は予定通り退院することが決まった。

退院が決まると、私はすぐお父さんに連絡した。
いつもお父さんは仕事が終わってからじゃないと来れないから、私が病院を出るのは夕方になる。
夕方まで時間がいっぱいあるから、1人で退院の準備を済ませて待ってるんだ。
できるだけお父さんがやること減らしたいしできることは自分でやりたいから、病室出る時間になったら1人で台車に荷物積んで、エレベーターで1階まで降りる。
そうやってお父さんが病室まで来なくていいようにして、1階で待っててもらうの。
今回もそれは同じで、私は退院が決まった瞬間から準備を始めた。

「はぁ~、ホントに退院しちゃうのかぁ。さみしいなぁ」

花奈ちゃんは自分のベッドから私のほうを覗き見ては、数分おきにそう言ってため息ついてる。

「もー、それさっきも言ってたよ!何回目?」

私がツッコむと花奈ちゃんが笑う。
退院後も連絡取り合えるから花奈ちゃんとはこれからもお話できるし、きっとまた会うこともできる。
だけど同時に入院する可能性はきっと低いから、こういうやりとりは今日で終わり。
そう考えると私もちょっとさみしかった。