「夢に花奈が出てきた」
私が立ち止まったことを確かめると、次の瞬間祖母がそう言った。
花奈の名前が出てきたので、思わず話に聞き入ってしまう。
「夢の中で花奈に言われたよ。立派に生きている花代を責めるな、花代を責めるワタシは嫌いだと。花奈、あの世で立派な子に育っていて感心したよ。この目で見れてワタシは幸せだ」
祖母の話に衝撃を受けた。
花奈が大人の姿で夢に出てきたと聞いて。
「花代には色々とひどいことを言ったねぇ。許しておくれ。花代も立派な社会人になって、ワタシはいい孫を持ったよ」
続けて祖母が放った言葉に、私はさらに驚いた。
祖母が私を良く言ったのなんて、子供の時以来だったから。
祖母は今話したことをすぐ忘れてしまうかもしれない。
無かったことにして、明日からまた私を悪く言うかもしれない。
それでも今の祖母の言葉を信じた。
私が受けた何年間もの苦しみを、一瞬で忘れさせてしまうほどの言葉だったから。
素直に嬉しかった。

