その後呼吸を整えてから、克代さんは再び話し出して。
「あたしはこれからずっと1人よ。夫はいないし両親も死んでしまったから最期を看取ってくれる人はいない。でもいいの。自分勝手に生きた代償だと思ってるから。もちろん花代に何か頼もうとも思ってない」
そんな前置きをしてから、私にこう尋ねてきた。
「花奈がいなくなってしまったんだから、花代がここに来る必要はもう無いわね?」
力強さの中に優しさが込められた、母としての克代さんの言葉。
その意味はちゃんと理解できた。
私と克代さんは自分自身のため、そしてお互いのために今後会わないほうがいいってこと。
きっと克代さんが私を思いやってくれた答えがそれなんだと思う。
私ももちろん同じ考えだった。
私はここに花奈の友達として来ていたのであって、それ以外の目的は無い。
克代さんとのお別れだってとっくの昔に済んでいる。
今回はたまたま再会しただけで、また前の生活に戻る……ただそれだけのことだ。
「はい」
だから私は何の迷いもなくそう返事した。

