「それに…私、藤沢タクに嫌われてると思う」


「えぇー?なんでよ?」


「なんとなく…」


「なんとなく?…ねぇ結衣、藤沢タクってどんな人なわけ?」


「…んーと、無愛想で冷たい、で…」


…で、ちょっと優しい。


「で?なに?」

「ううん!なんでもない!」


女子トイレでの藤沢タクを思い出した。
あの時のブレザーの匂い、まだ記憶に残ってる。


あの瞬間だけは優しかった。
あとでブレザーを返しに行った時は、やっぱり無愛想な藤沢タクだった。



「別に気にすることないんじゃない?結衣が思うようにすればいいんだよ。自分の気持ちに素直にさ」


「うーん…」