「ちょっと…!美月!」


授業開始のチャイムが響く中、美月は教室とは違う方向へ歩いた。


「先に教室戻ってるよー!」


背中にナオの声を受けながら、私は美月の後を追った。


2年生とあんなケンカしちゃうなんて…美月が心配。


美月は階段を駆け上がり、屋上の扉を開けた。


ふわっと、春の匂いがした。


…あったかい。
ポカポカして気持ちがいい。


「結衣、ここ座ろ!」


「うん!」


美月は陽のあたる場所を選んだ。先生が屋上に上がって来ても、すぐには見えない所。