「でー?どうだったのよー」



美月は何よりもそれが聞きたかったみたいで、ワクワクして私の言葉を待ってる。



「ただ帰っただけだよ。そんなに話もしなかったし…」


「そうなの?どこまで一緒に帰ったの?」


「それがさ!……」


「なになに?」



藤沢タクと家が近いこと、
なぜか“言いたくない”と思ってしまった。



「いや、途中まで同じ方向だったけど踏切の辺りで別れたよ」


「へぇ~!!」




ごめん、美月。
ウソついた。


藤沢タクのマンションも、一人暮らししてることも、まだ言いたくない。


私と藤沢タクの秘密にしておきたかった。