「あっ!ここです、私の家!」 藤沢タクのことを考えながら歩いてると、自分の家の前に着いたことも気づかなかった。 「あの、じゃあ…さよなら!」 「じゃあな」 一度足を止めた藤沢タクはまた歩き出した。 そこの角を曲がるとマンションだ。 私は藤沢タクの後ろ姿を、少し見送ってから玄関の扉を閉めた。 「ハァ…」 緊張の糸が一気に切れて、ため息が出た。 …ほんと、疲れた。