電源係

試験官は手元にある用紙を読み上げた。
「電源係該当条件、生年月日が昭和45年以降の者、一歩前進。」
確かに僕らは27歳だ。しかし誰も降りようとしない。
「ほらほら、正直に。」
僕らは渋々一段降りる。
「親戚三親等の中に国家公務員がいない者、一歩前進。」
いない。再び階段を下りた。
「名前の中に、子音のRが入っている者、一歩前進。」
木村はRがつくから、一段降りる。
「男、一歩前進。」
おいおい、と呆れながらも僕達は進む。
「名前にS、Mがつく者、一歩前進。」
「おいおい、ちょっと待てよ。俺しかいねぇじゃねぇかそんなの書いてないだろ?」
「ちゃんとここに書いてあります。ですが規則で見せられない事になっています。」
修は渋々階段を下りた。
「あだ名がある者、一歩前進。」
僕らは顔を見合わせる。
場の空気が沈んだとき、修が口を開く。
「なぁ"かたごり"、お前はあだ名無いの?」
かたごりとは恐らく僕のことだ。
「あだ名一歩前進。」
修のせいで一段降りることになってしまった。
ピー!
笛が鳴る。