久しぶりに声が枯れるほど、泣いた。
彼の死から1ヶ月近く経って、直後に比べると見違えるくらいに心は安定した。
ふと彼の温もりを思い出して涙が滲むことはあったけれど、そんな時は彼の曲を聴いてその温かさに身を委ねた。
そのまま眠りにつくと、必ず彼の夢を見た。
彼が天国から私を助けに来てくれたのかもしれない。
目覚めると窓の外はいつも晴れていて、その柔らかな日差しと同じくらい、私の心も澄んで穏やかになっていた。
けれども今日は、彼の声を聴くことすら辛い。
気付かぬうちに日が落ちて真っ暗になった部屋の中で、ぬいぐるみを抱えて小さくうずくまった。
泣いたって仕方がないのに、天国にいる彼に想いが伝えられるわけでないのに、涙が止めどなく溢れてくる。
どうして涙が出るのだろう。
涙なんて初めから出なければ、辛いんだ苦しいんだって気付かなくて済むかもしれないのに。
そんなことまでも思った。
どれだけそうしていたか分からないほど時間が経って、私はそのまま眠りに落ちていたのだった。

