For You 〜 天使だった君に 最高のお返しを

『怒ってるよな、優梨花』

なんと、見抜かれていた。

『そりゃ怒るよなぁ。一番優梨花が嫌いなことしたもんな。

本当にごめんな』


あなたが謝ることじゃないの。

私があなたを信じられなかったのが悪いの。

あなたは本当に何も悪くない。


『優梨花、自分が怒ったこと怒ってそうだな。はははっ、図星でしょ。


優梨花怒ってもいいんだよ。むしろたくさん怒りな。

俺がいくら病気になったとはいえ、約束破りに違いないんだから。

遠慮なんてしなくていいんだ。


前にも言ったろ?

優梨花は自分の感情を押し殺し過ぎなんだよ。

特に“怒る”って感情に関しては特にそうだ。

優梨花は怒るってことに敏感過ぎだよ』


どうして、どうしてあなたはそんなに……

優しいそんな言葉じゃ表現しきれない。


私は何度も彼に助けられた。

彼の病気に比べたら、とてつもなくちっぽけなことで悩む私を抱き寄せて、小さい子をあやすように優しく私の髪を梳いて。


こんな幼稚臭い表現は使いたくないけれど、彼の言葉は魔法のようだった。

彼の言葉を聴くだけで私の心は安心して温かくなった。


そして今も。


彼は言葉だけでこんなにも私を安心させ、笑顔をくれる。

私は悪くないんだって思わせてくれる。


彼の優しさに身を委ねる感覚が大好きだった。

それ目当てでわざとわがままを言ったこともあった。


彼はきっとそれに気づいていたけれど、何も言わずにわがままを聞いてくれた。


だからもう一度だけ。あなたの優しさに身を委ねたい。

私のわがままを聞いて。




「瞬一のばか」