曖昧な、人気者


そんなことを考えながら話していると、


「藤原さん」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、そこにいたのは4、5人の男の子。




……またか。

多分、今からされるのは所謂告白、というもの。

でも、決して少女漫画的な光景でも理由でもない。


恥ずかしそうに顔を染めながら言う人もいなければ、照れたように笑いながら言う人もいない。

そこにいるのは、切羽詰まったような顔で言う人だけ。



ここで注意して欲しいのは、その表情の意味が、『想いが大きすぎて〜』という理由ではないことだ。




ーーーそう、要は家のためである。

晴慶との婚約を公表していない私は、他の人から見れば、婚約者も恋人もいないフリーの状態。

藤原家の娘という私の肩書きは、家の事業が上手くいっていない会社から見れば、喉から手が出る程ほしいものなのだろう。

恋人とはいえども、藤原家と少しでも関係がある、ということは、私の自惚れではなく、この世界で優位になる。


……恐らく、晴慶の方も何人かはその理由だろう。