曖昧な、人気者



「何、珍しい」

「別に。正直に言っただけだもん」




……何だろう。いつもより妙に可愛く見える。


マスクは入ってすぐ外したけれど……よし、眼鏡も外すか。


「え。ちょっと、何で眼鏡……」

「まあまあ」

「ここで何する気⁉︎」

「ん?何だと思う?」



手で俺を押し返して反抗しようとするから、逆に問いかけてみると、案の定黙り込んだ美琴。


恥ずかしがり屋のこいつが、言える訳がない。





……まあ、こいつの母親は茶道の家元の娘だからな。

和室には何か感じるものがあるのかもしれないが……藤原家自体は関係ないから、良いだろう。