曖昧な、人気者



「……よし、着いた」


別館にある、和室の部屋。

ここは、月に一回あるかないかのお茶会くらいにしか使われていない場所。



「……何満足そうに言ってるのよ!手を繋ぐなんて、意味分からない!」

「煩いな。別に良いだろ」

「関係バレても良い訳⁉︎」

「バラせよ、って言ったのは誰だよ」

「それは……」



そこで言葉に詰まった美琴の耳に顔を近づけて、


「それに、嫌がってなかった癖に」



そう囁くと、美琴の顔は、一気に赤くなった。