曖昧な、人気者



「……言ってなかった、かな」


答えるのに間が空いたのは仕方なかったと思う。

それ位、眼鏡の奥からこちらを睨む瞳には圧力があった。


だけど、表情を崩されるのは、美琴に負けたようで悔しいから、微笑みは絶やさない。



「そう。……でも、この後用事は何もないよね?」

「まあ、そうだね」

「それなら、今から行っても大丈夫?」


「……うん、行こうか」





言葉の端々に妙な圧力を感じるのは、気のせいだろうか。