「いいから、大丈夫」

先輩はそう言うと、橘先輩の力を借りず
自分の力で立ち上がった。

審判曰く、相手の反則により、先輩がスリーポイントシュートを打てることになったらしい。


先輩は何も言わずにスリーポイントシュートの
立ち位置まで行った。

橘先輩も先輩はまだ動けるのだと察して、
自分の応援席に戻った。

「やっぱり橘さんだけ特別なのかな...」
「そうじゃない?横須賀くんもまんざらじゃなさそうだし。」

ヒソヒソと話し声が聞こえる。

今はそれどころでない、
先輩は明らかに無理している顔だった。

それでも無理してフィールドに立つということはきっと頑張っている姿を橘さんに見せたいんだ。

橘さんも祈るように手を組んで、そっと先輩を見守っている。