また、橘先輩のこと、みてるのか。
どうしようもなく泣きそうになる。
あの日のことをまた、思い出した。
―――――――――――1ヶ月前
あたしは移動教室で3年生のフロアにある
化学室へと向かった。
新しくできた友だち、一条和奈(いちじょうかずな)と、階段を登っていると
ふと、聞こえた会話。
「ねぇねぇ、あたし横須賀くんに告白をしようと思うの!」
横須賀先輩はイケメンだし、モテるのは当然だと思う。だけどあたしはその言葉で
不安と驚きで胸がいっぱいだった。
「あんたねえ、無理に決まってるじゃん。
分かってるんでしょう?横須賀くんがまだはるかのこと好きだって」
はるかのこと、好きだって。
聞きたくもなかった。
そしたら、泣かずに済んだのに。

