昔、圭汰と付き合っていた頃も、時々自室のベランダから、こうやって夜空を見上げていた。
懐かしいな。
あの頃は確か、悩み事があって眠れなかったから、見ていたんだっけ。
今に比べれば小さな悩みだったけれど、夜空を見るだけでなくなるくらい小さかったけれど、夜空が気持ちを落ち着かせてくれるのは、今もあの頃と変わりないらしい。
「忘れちゃおうかなー・・・」
そんな簡単に忘れられたら苦労しないのだろうけれど、つい忘れようと言ってしまう。
それはもう、口癖みたいになってしまっている言葉だ。
「・・・綺麗だなー」
「本当に」
何気なく呟いた独り言にそんな言葉が返ってきて、私は驚いて、勢いよく振り向く。
「おう。駄目だろ、こんな時間に」
片手を上げながらいい加減な注意をした、背後にいる人物。
私は驚きで固まったまま、瞬きを数度した。


