みんな、愛し方を忘れてる。



「はい。ルーをもらいに行こうと思って」
「じゃあ、丁度良かったな。はい」

圭汰は私にレジ袋を差し出し、私はそれを受け取った。

「どうも。・・じゃあ、戻りますね」

私は軽い会釈をすると、圭汰に背を向けて広場へ戻ろうと歩き出す。

「待って」

しかしそれは、手首を圭汰に掴まれたことによって、止められる。
私はゆっくりと振り向いた。


「・・・何ですか?」
「・・夏祭りの、こと」
「っ・・・・」

私は足元に視線を落とす。

「あの時は、本当に・・・」
「カレー、作らないと!」
「はっ・・・?」

私はわざと大声を出して、圭汰の話を遮った。
動揺する気持ちは、声にも顔にも、はっきりと出た。

「みんな、待ってるんですよね。だから、もう戻らないと」

だから離して、と掴まれた手首を振る。

今、その話はしたくなかった。