みんな、愛し方を忘れてる。



「・・・・。」

動揺やら困惑やら恋心やらでパンパンになった思考が停止する直前に、私は灯からゆっくり離れた。

灯は口を手の甲で押さえながらしきりに瞬きをし、私を唖然と見つめる。
私は灯から逸らした目を泳がせた。


自分が今してしまったことに、戸惑う。

何て言おう。
何を言えば、この空気はなくなるのだろう。


「ふゆ、ほ・・・?」
「っ・・・・ごめんっ!」

結局、何も良い案が浮かばなくて、私は勢い良く頭を下げると、鞄を持って立ち上がった。

そして、一瞬だけ灯の顔を見ると、走って部屋を出ようとドアに向かう。


「あっ、冬穂!」

灯に呼び止められても無視して、ドアを開けた。