みんな、愛し方を忘れてる。



ふと、名前を呼ばれ、顔を上げると、そこには小日向くんが、目を丸くさせて立っていた。
その手には鞄があって、もう帰ろうとしていることが分かった。

しかし、放課後になってから大分時間が経っているのに、今から帰るとは、少し不思議だ。
確か今日は、部活がない日のはずなのに。


「どうしたの?泣いてる・・・?」

私に近づきながら、心配そうに問う小日向くんに、私は目元を必死に拭って笑顔を作った。


「小日向くんこそ、こんな遅くまで残って・・・」
「えっ?ああ・・・・忘れ物、しちゃって。途中で気づいて、取りに戻ってきたんだ」

小日向くんはそう言うと、鞄の方を少し持ち上げ、私に見せる。

「そうなんだ・・・」

私がそう返すと、小さな沈黙が生まれる。


「・・・あっ、下まで、一緒に行く?」
「えっ?あっ、うん・・・」

小日向くんの提案で、私達は下駄箱まで一緒に向かうことになった。