『圭汰にはもう、愛すべき人がいる。守らないといけないものがある』
冬穂の言葉を思い出す。
そうだ。
俺にはもう、嫁とこれから生まれてくる子どもという、愛し、守るべきものがあるのだ。
最後の最後まで、俺は自分本位な人間だった。
だけど、冬穂にとって俺は、最後の最後まで、尊敬出来る大人でいられたかな。
俺は白い息をもう一つ吐くと、手元の煙草を見つめる。
「・・・これを、最後の煙草にするか」
ごめんな、冬穂。
散々傷つけて、本当にごめん。
これからはもう、迷わないから。
ずっと、夫として父として、そして、男として、嫁と子どもを守っていくから。


