いつの間に、あんな笑顔を覚えたのだろう。
いつの間に、儚くて、それでいて美しい笑顔を見せる、女性に成長したのだろうか。
知らない内に、冬穂は大人になっていたようだ。
俺が冬穂の隣にいなかった間に、あいつは、俺なんか必要ないほど、立派になった。綺麗になった。
それをあの笑顔に思い知らされて、とても引き止める気にはなれなかった。
「・・・・ん?」
ふと、ズボンのポケットが震え、俺はそこから携帯電話を取り出す。
画面を見てみると、嫁からのメールが届いていた。
確か今日、具合が悪いって言って、病院に行ってたんだっけ。
『圭ちゃん、聞いて!
さっき病院で、お医者さんに言われたんだけど・・・』
佳月がこの時間にメールを送ってきて、しかもそれが、ただの病院の検査結果の報告なんてことは珍しいから、俺は小さく息を呑んだ。


