その時、本当に世界が変わって見えた。
宮咲さんの笑顔が、とても美しかったからだ。
・・・けれど、その笑顔が俺に向けられることは、もう二度となかった。
ただ、二年生になってから、灯に向けられているそれは、何度も見てきた。
その度に、少し胸が痛んだ。
だからこそ、思ったんだ。
お似合いだと言ったのも、灯と宮咲さんは一緒にいなければないけないと思ったのも、全て本心だ。
でも、もし叶うならば、一回だけでも、リングに立ってみたかった。
負けても良いから、勝負を挑んでみたかった。
『好きなら強引にでも奪ってみせろよ』
『不戦敗して、簡単に諦めてんじゃねえよ』
灯に向けた言葉のはずなのに、俺の心をグサグサと刺してくる。
俺にはきっと、灯を説教する権利なんてない。
気持ちを伝える勇気もなく、戦う前から諦めているのだから。


