下手くそな泣き真似をした灯を、面倒くさい顔で送り出すと、
「くそぅ!覚えてろー!」
と、灯は、どこかの子供番組の悪役みたいなことを言って、走り出した。
しかし、すぐに振り返って、
「ありがとうな!蒼人!」
と、手を振ってきた。
俺は、ふんっと、鼻を鳴らして無視したけれど、灯が去ってから、小さく微笑んだ。
そして、背伸びをしながら、ため息を吐く。
「・・・馬鹿か」
今の言葉はもちろん、自分自身に対して出た言葉だ。
『宮咲さんに必要なのは、灯、お前なんだよ』
『本当にお似合いだと思ったよ』
さっき灯に向けて言った言葉たちが、随分綺麗で、虫酸が走りそうだ。
『俺はずっと、お前ら二人のことを見てきた』
そう。俺はずっと、見てきたんだ。
一年生の頃から、ずっと見ていた。
いつもいつも、見つめていた。


