~蒼人side~


「・・・何してんの?」

五限目の授業の開始を知らせるチャイムが鳴ってから、10分程経った今。

俺は、裏庭にいた。


今朝、灯と河合が付き合っているという噂が流れた。

それが本当かどうかを問い詰めるためと、目の前にいるこの馬鹿の目を覚ますため、わざわざ授業をサボってきてやったのだ。

俺が声を掛けると、馬鹿はそっと顔を上げた。


「蒼人・・・」
「授業、サボって良いのかよ」
「・・・お前こそ」
「俺はお前と違って賢いから」
「・・・・。」

何か言いたげな目で俺を見つめる灯を無視して、俺は灯が座っているベンチに、灯と、人一人分くらいのスペースを空けた隣に腰かける。

すると、まもなくして、灯は前を見つめ、小さな声で話し出す。