「ひどい?ふっ、なに悲劇のヒロインぶってるの?」
望未ちゃんは馬鹿にしたように笑う。
でも、私には分からなかった。
だって、私にこんなことをしても、望未ちゃんには何の得もないと思うから。
私の苦しんでいる姿を見て、彼女は幸せなのだろうか。
分からない。私には、そんな気持ち。
だから、私は望未ちゃんをじっと見つめた。
「いいよ、返してあげる。でもその前に、ついて来てほしい所があるの」
「ついて来てほしい所?」
「うん。いいでしょ?」
私は教室内をぐるりと見渡す。
私達の会話を聞いて、怯えている女子や、焦っている男子、知らん振りを通す人はいるが、生憎、私の味方をしてくれている灯や小日向くんはいなかった。
だからこそ、望未ちゃんは今、私に声をかけたのだろうけど。


