みんな、愛し方を忘れてる。



普段の陽気な灯からは、異常ともいえる様子だ。

私と圭汰の関係を知っているならまだしも、灯は私達のことを何も知らないはずだ。

心配しながら灯を見つめていると、そんな私達を見た圭汰が、徐に口を開いた。

「・・・じゃあ、俺はもう行こうかな」

私は圭汰に視線を移す。
灯は相変わらず、窓の外を見つめたままだった。

「悪かったな、邪魔して。まあ、高校生らしく、仲良くしとけよ。・・・それじゃ」

少し気まずそうに微笑み、圭汰は私達の肩をぽんと叩いた。
その手が何だか悲しそうで、私は気まずさに、下を向いた。

「・・・はい」

私がそう小さく返事をすると、圭汰はさっさとドアの方へ向かい、視聴覚室から出ていく。
私は振り返り、その後ろ姿を見つめた。


「・・・なあ、冬穂」

しかし、低めのトーンで灯に呼ばれ、我に返る。

そうだ。私が今大事にしなくちゃいけないのは、思い出ではなく、灯との時間だ。